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皇帝カルロス!

16世紀ヨーロッパに君臨した神聖ローマ帝国皇帝カルロス5世ファンのブログ。

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物語に満ちた時代の物語


「シナン」(上)(下)
夢枕 獏 著
中公文庫

著者は言っています。
「まったく、1500年代-つまり16世紀というのは、なんという奇跡のような時代であったことか。それは、人類史上、世界が最も物語に満ちていた時代であった。」
その物語の時代に、オスマントルコ帝国の宮廷建築家として活躍したミマール・シナンの生涯を描いたのが本書です。
当時のヨーロッパキリスト教世界が常に脅威を感じていたアジアの大国オスマントルコは、時のスルタン「壮麗王」スレイマンのもとで最も華やかな時代を迎えていました。しかし、その首都イスタンブールにそびえ立つ聖ソフィア大聖堂-トルコが滅ぼしたビザンツ帝国が古代に建設した大建造物-の存在は、征服者トルコがキリスト教文明を超えるための大きな壁であり、これより大きなモスクを建設することが求められていたのです。
キリスト教からの改宗者でなる帝国の精鋭部隊イェニチェリの工兵として出発し数々の難題を乗り越えた主人公シナンは、やがて宮廷の主席建築家として成功を収めますが…はたして、聖ソフィアを超えるモスクの建設に彼は成功したのでしょうか?

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マクシミリアン皇帝のプロパガンダ


「ドイツ・ネーデルラントの近世版画ーマクシミリアン1世の時代を中心にー」
東京芸大大学美術館 展覧会カタログ

マクシミリアン皇帝は、「中世最後の騎士」と呼ばれるように、兵士達からも慕われた戦場が好きな行動派の君主であり、どうも体育会系な人のイメージがあります。しかし、その一方で芸術や文化を愛したフマニスト(人文主義者:ルネサンス期の文化人たち)の庇護者でもあり、自らも音楽や詩作をたしなむことがあったようです。
この展覧会カタログは2004年に開催された(私は残念ながら見ていませんが)、マクシミリアン帝時代の版画についてのものです。とくに興味深いのは、皇帝自らが企画し芸術家たちに制作を依頼したいくつかの版画集の一つ「白王伝」が取り上げられていることです。

当時のことは、当時の人が一番知っている。


「ネーデルラント旅日記」
アルブレヒト・デューラー著/前川誠郎訳
岩波文庫

1520〜1521年の約1年間、ドイツの画家デューラーがネーデルラント地方を
旅した際の日記。日記は日々の金銭のやり取りを詳細に残した出納簿からなっており、
16世紀の日常にわずかながら触れられるような気がして、とても面白いです。
なかでも、ルター逮捕のニュースを聞きつけた日の衝撃に満ちた一文は、当時の宗教
改革の火付け役がヨーロッパ(キリスト教)社会に巻き起こした熱狂と、その影響力
の大きさを窺い知ることができるものです。

いつのまにか

すっかり更新をサボッていたら、
管理人は30周年を迎えてしまったのでした。

皇帝陛下が30歳のとき何をしていたか?
何といっても一番の出来事は、ボローニャにおいて
教皇クレメンスから神聖ローマ皇帝の戴冠を受けたこと。
名実ともに当時のヨーロッパ世界の最高権力者となった
瞬間だったのでした。
プライベートでもイサベル皇后陛下と仲睦まじく、
2人の子宝に恵まれ充実した日々を送っていたはずです!

翻って、自分。
何の天下も手に入れず、鬱々とした仕事だけの日々、、、
30周年とは名ばかり。実を伴わない毎日なのでした。
せめてまた、ブログの更新を始めようと、
ぽつりと思う旅立ちの日でありました。
皇帝陛下万歳!

カール5世とハプスブルク帝国


「カール5世とハプスブルク帝国」
ジョゼフ・ペレ著/塚本哲也監修/遠藤ゆかり訳
創元社 「知の再発見」双書105

カルロス皇帝の生涯、治世を知る入門書。
「知の再発見」双書シリーズに特徴的な、豊富な図版を使っての解説が、
見ているだけでも楽しいです。
原題「Charles-Quint, Empereur des deux Mondes.」:
「シャルル・カン(フランスでのカルロスの呼び名)、2つの世界の皇帝」
が示すとおり、新世界(アメリカ)と旧世界(ヨーロッパ)を凌駕する、
「太陽の没することなき世界帝国」の統治者としてのカルロスの姿を紹介
しており、とくに彼の時代のアメリカ植民地政策にページが割かれている
のが、他の著作にない特長と言えるでしょう。

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