「スペインハプスブルク カルロス5世の旅」
上野健太郎 著
JTB
かなりマニアックな人物紀行です。(いや、「人物紀行」とは元来マニアックなものかも知れません。)歴史ファンなら誰しも、その人物のゆかりの地を訪れてみたいとは思うもの。しかし、それにも程度というものがあります。著者は研究者でもなんでもない、ただの一ファンなのです。
カルロス5世は16世紀ヨーロッパに君臨した王で、広い領内を移動しながら統治した「旅する皇帝」としても知られている人物です。スペイン、ベルギー、オランダ、イタリア、フランス、ドイツ…誰に頼まれた訳でもない、著者はその足跡を自らの好奇心のみで10年余をかけて追いかけたのです。単なるファンにとても真似できることではありません!
しかし!だからこそ、王の足跡を紹介する文に重みを感じるのです。「今わたしも同じ場所に立っている」と。時代は違えど、その土と、風と、空とを体験した者だけが、深い空想の世界へと旅立つことができるのです。この本はその旅の楽しみを分け与えてくれる素敵な一冊なのです。
それにしても、私は著者の行動力に驚きと感動を覚えずにはいられません。
はじめまして
Re:はじめまして
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