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皇帝カルロス!

16世紀ヨーロッパに君臨した神聖ローマ帝国皇帝カルロス5世ファンのブログ。

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俺のケツを舐めろ!



「鉄腕ゲッツ行状記~ある盗賊騎士の回想録~」
ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン著/藤川芳朗訳
白水社

中世末期ドイツに現れた風雲児…いや、問題児?
名高き「鉄腕ゲッツ」本人による武勇伝です!

文豪ゲーテが処女作として世に送り出した、
戯曲「鉄の手のゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン」。
主人公ゲッツは、皇帝権力に抗い、
民衆のリーダーとして農民戦争に立ち上がり、
やがて失意の最後を迎える…。
勇ましい英雄物語はたちまち人気を博し、
無名だったゲーテを一躍有名にしたそうです。

ところが!
ゲーテも手にしたであろう本書を読んでびっくり。
言いがかりとしか思えない決闘行為に明け暮れ、
相手からの賠償金獲得に精を出す毎日。
正義のため農民戦争に立ち上がったのではなく、
単に担がれただけの被害者だ、とひたすら弁明。
しかも、その弁明も真実かどうかは疑わしく、
混乱に乗じて利益を獲得したかっただけ?

「英雄」という言葉とは程遠い、
「鉄腕ゲッツ」の姿を目の当たりにします。

しかし、その暴れん坊ぶりが幸い?してか、
16世紀当時もそれなりの有名人だったようで、
歴史に名を残す同時代人たちと
しばしば邂逅する場面が出てきます。

ゲッツ本人の生き生きとした語り口のこの自伝、
部隊は神聖ローマ帝国内に限定されますが、
カルロス皇帝時代のキーマンたちの活動を知る、
第一級の一次史料です!


1499年 スイス戦争に同行 マクシミリアン皇帝と邂逅
「陛下は緑色の古びた小ぶりの上着を召され、頭には緑の短く切った頭巾(シュトウツツカッペ)を載せて、その上からつばのある大きな緑の帽子をかぶっておいでだった。あのお姿なら、敵の捕虜になっても皇帝だと知れるおそれはなかっただろうよ。しかし、わしには鼻の形で陛下であることがわかった。かつて騎士見習い(ユンカー)として、伯父上殿のお供で何度か帝国議会に出向いた折に、お姿を拝見したことがあったからだ。」

「わしは大きな槍を持って主君に従っておった。その槍は白と黒に塗ってあり、それに結びつけられた旗も白と黒であった。また、わしは冑にまっすぐ立った大きな羽根をつけていたが、これまた同じ二色に塗ってあった。」

「それにしても、そのほうは長い槍と旗を持っているものだな。ともかくあそこの兵の列に加わり、待っておれ。コンスタンツの町から鷲の帝国旗が到着するによってな。」


1504年 バイエルン継承戦争に参戦 右腕を失う
「さて、わしが息をひそめて好機をうかがっていると、ニュルンベルクのやつらはカルバリン砲をわしらの方に向けて、つまりさっきも言ったように、敵味方が入り乱れているところに、つぎつぎと撃ち込み、そのなかの一発がわしの剣の柄頭に命中したのであった。」

「わしは、手首から先が皮膚一枚でかろうじてぶら下がっていること、そして槍は馬の足下にころがっていることを見て取ると、ことさらゆっくりと馬の向きを変え、それでも敵に邪魔されることはなく、味方の陣営をめざした。」

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